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単気筒バイクのエンジンの構造からその性能の特徴までを詳細に解説

単気筒バイクのエンジンの構造からその性能の特徴までを詳細に解説

単気筒バイクのエンジンとは

バイクのエンジンは、レシプロエンジンなので、円筒形のシンダーの中をピストンが往復する際のエネルギーを回転力に変換して車輪を駆動します。
シリンダーが1本しかないエンジンを単気筒エンジンと言います。

エンジンの形式によって、シリンダーの数や配置の違いがあり、それぞれに違った特徴が現れてきます。

例えば、シリンダー4本を一列に並べると直列4気筒と言い、こんな様子になります。

直列4気筒
画像出典:https://youtu.be/RoSn-GAtFo4

 

今回は、シリンダーが1本だけ(当然ピストンも1本です)の単気筒エンジンのバイクの特性についてあれこれ見ていきましょう。

単気筒エンジンの特徴は構造が単純

何と言っても、ピストンとシリンダーが一組しかありませんから、2組、4組のようにたくさんあるエンジン機構と比べたら構造は単純ですね。

多気筒になると、可動部分が増えるだけではなく、お互いの連動タイミングにも十分な配慮が必要になり、より精密な加工精度が要求されるようになります。

構造が単純であることから次のような特徴が導かれます。

価格が安い

構造が簡単であることから、部品点数が少なく、材質や加工精度が多少低くても許容できるし、組み立て工賃や検査の工賃も安くなります。

結果的に、コストが低くなり、製品価格が安くなります。

では、どのくらい安くなるのでしょうか?
バイクの価格は、エンジンだけでは決まらないので、一概には比較できません。

単気筒エンジンと、多気筒エンジンが最も多く混在するのは250ccクラスです。
そこで、ホンダの250ccロードスポーツで、ほぼ同格のモデルで比較してみました。

単気筒のCBR250Rが6段変速で、VTRが5段変速の違いはありますが、仕様的にはほとんど同じモデルです。
いや、フルカウルがついているので、CBR250Rの方が上位バージョンなのかもしれませんが値段が安いんです。

単気筒250ccV型2気筒250cc
CBR250R 498,980円
燃費 50.1km/L(時速60km定地)
VTR 598,320円
燃費 40.0km/L(時速60km定地)

上表のように、10万円(約20%)の価格差がありますが、やはりエンジンの差が大きいのでしょう。

メンテしやすい

構造が単純だから、部品点数が少ないし、組み立てミスも発生しにくいです。
ちょっとした知識と工具さえあれば、自分でばらしてメンテできるくらい簡単な構造です。

故障したときの修理代も安いです。
そもそも、部品が安いし、工賃も安くなります。

小型化が可能

構造が単純だから、小型化の設計が可能になります。

マルチ(多気筒)にすると、エンジン本体だけではなく、エアクリーナやキャブレタなどの吸排気システムの数が増えるので結果的にスペースが大きくなるのです。

250ccクラスで比較すると分かりやすいですね。

エンジン付近の小型化を求められるのはスクーターです。
エンジンなどの機構部品を、全部カバーの中に収めなければならないので、単気筒エンジンが使用されるのです。

機構部品が大きくなるとスクーターのカバーに収まりきれなくなってしまいます。

スクーターに単気筒エンジンを採用する理由は、低回転型で低速トルクが大きいことなども影響していますが、エンジンの小型化と低価格が主たる理由のようです。



単気筒バイクのメリットは

構造が単純であることから3つのメリットを紹介しました。

  • 価格が安い
  • メンテナンスがしやすい
  • 小型化が可能

単気筒エンジンには、その他に次のようなメリットがあります。

低速トルクが大きい

トルクとは、軸を回転させようとする力です。
回転させる軸はエンジンのクランクシャフトですが、ギアを伝達して最終的にはタイヤを回転させる力になります。

トルクが大きいといいますが、トルクが太いなどと表現することもあります。

単気筒エンジンのピストンはマルチエンジンのピストンよりも直径が大きいですから、爆発によって受ける力も大きいのです。

爆発によって受ける力は、単気筒の直径が大きいピストンの方が大きいので、2気筒よりもトルクが大きいのです。
特に、回転数が低いときの低速トルクでは差がはっきりと出やすいのです。

この性質は、発進と停止を繰り返し、直角に曲がる交差点走行が多いタウンユースではとても有利な条件になります。

250ccスクーターのエンジンが、小型化のために単気筒が採用されていると書きましたが、こちらの低速トルク重視が、タウンユースに適していることも、採用の理由になっています。

燃費が良い

レシプロエンジンは、燃料に空気を混ぜて混合気を作り、点火して爆発させて、燃えカスを排気します。

このときに、完全に燃焼させれば燃費が良くなるのですが、一瞬で爆発するようにみえる点火の瞬間ですが、スローモーションでみると、点火プラグから発生した炎が、シリンダーの中を伝搬して燃えていくのです。

実は、すべての燃料が完全に燃え尽きつきるわけではなく、若干は燃えないまま排気される燃料もあるのです。
これが未燃焼の燃料です。

スズキ自動車では、燃費を悪くする原因となるロスを次のように5項目に分類しています。

 損失の項目内容
未燃焼の燃料燃料そのものの損失
ポンピングロス吸気・排気行程で発生するエネルギー損失
排気ロス排気ガスとして捨てられるエネルギー損失
冷却ロス冷却水等への放熱によるエネルギー損失
機械抵抗ロスピストン等機械の摩擦によるエネルギー損失

それぞれの項目が、多気筒エンジンよりも単気筒エンジンのほうが有利なのです。

結果的に、単気筒エンジンは燃費が良いということになります

 

単気筒バイクのデメリットは

大型化が難しい

レシプロエンジンですから、ピストンが往復運動をします。
1回毎に『始動ー高速移動ー停止』を繰り返すので、結構エネルギーロスが大きいんです。

移動物体が小さければ高速運動が可能ですが、移動物体が大きくなると運動が遅くなり、大きすぎると動かすことができなくなります。

イメージとしては、ハチドリの羽根は高速で動きますが、大鷲やコンドルのように大きくなると動きがゆっくりになります。

CBR250R(250cc単気筒)の場合は、直径76mmのピストン(金属塊)が55mm往復運動をします。
VTR(250ccV型2気筒)の場合は、直径60mmのピストンが2個、44,1mmの往復運動をします。

ピストンの直径が大きくなればなるほど重くなるので、運動停止の振動が激しくなり、機械的に制御できなくなります。

一般的に、実用的な大きさの上限は800cc程度と言われています。

出力が小さい

出力とは、一般的には馬力といったほうが通じやすいかもしれません。
ホンダのホーネットは40PSだった、などといいますね。

排ガス規制のために、すでに市場から消えてしまいましたが、かつては250cc4気筒のバイクがありました。
中古車は現在でも流通しています。
回転数を2万回転近くまで上げる、高速回転型高出力エンジンでした。

画像出典:https://moto.webike.net/moto_report/2014/05/vol28/

これらのバイクは、業界の自主規制ですべて40PSでしたが、もっと上げることが出来ます。

ヤクルトくらいの小さな4本のシリンダーが動き回るので、バイク特有のブンブンとかドコドコという振動音が感じられすに、まるでモーターのようにヒュンヒュンとなります。

このような高速回転型マルチエンジンと比べると、単気筒エンジンはどうしても回転数の上限が低く、最高出力も及ばないのです。

結果的に、高出力のバイクを設計するなら、単気筒エンジンは選ばれずに、マルチになるのです。

音がうるさい

出力が小さいの項目にも書きましたが、250ccマルチ(4気筒)エンジンは、モーターのように甲高い音でヒュンヒュンとなりますが、音量自体はそれほど大きくありません。

単気筒エンジンは、1回の爆発エネルギーが大きいので、『ドカァ~ン!』と大きな音がします。

これが連続するので多気筒エンジンよりも低音で大きな音で、ドンドンドンドン、あるいは ドッドッドッドッと聞こえます。

うるさいと言われるゆえんですが、爆発力が大きいのだから当然の結果なのです。

振動が大きい

上の音がうるさいと連動する項目です。

単気筒エンジンのピストンは、マルチエンジンのピストンよりも重くて大きいです。
多気筒(マルチ)エンジンは、同じ排気量を2分割とか4分割するのですから、ピストンが小さくなるのは当たり前ですね。

より大きな金属のの固まりが往復運動をするのですから、振動が大きいのも当たり前です。

そういうエンジンを搭載したバイクに乗れば、シートを通して突き上げてくる振動が大きいのは、予想できることです。

ただし、この振動がデメリットかというと、必ずしもそうとはいえない面もあるのです。
バイクは趣味の乗り物ですから、不便なところも味のうちとして、振動を好むタイプのライダーもいるのです。

ロングライフの名車と言われる、ヤマハのSR400などは、振動がなかったらとっくに廃盤になっていたことでしょう。

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アドベンチャーツアラー、アメリカン&クルーザー、スクーター、原付一種&原付二種、オフロードバイク、巨大バイク、スーパースポーツ、ネイキッドバイク、レトロ&クラシック、その他



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