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青切符違反の無実を裁判で争うための正しい知識

青切符違反の無実を裁判で争うための正しい知識

交通違反で捕まってしまいました

交通の流れに沿って走っていると、突然制服の警察官が現れて、
「止まれ」
の旗を掲げました。

交通取り締まりで止められたようです。

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聞くと、軽微な違反と言うことで、青切符をきられました。

アシスタントもうさん

あぁ~あ、やっちまった

そう思ったら、素直に青切符の反則金を納付しましょう。
免許証に点数は付きますが、刑事罰を受けることなく、平和な生活が続けられます。

しかし

アシスタントぺんさん

ぼくは、違反なんかしていないぞ

と、警察の主張にはどうしても納得できない場合があるかも知れません。

こんな時には、泣き寝入りで反則金を納めるのではなく、正々堂々と自己の論理で無実を主張しましょう。

そんな時のための正しい知識を紹介します。

青切符制度

青切符制度のメリットとデメリット

青切符は、交通違反の点数が3点以下の軽微な違反に対して、定められた金額の反則金を納めることによって、簡潔に処理をする制度です。

◆青切符制度のメリット

  • 裁判を開かないので手続きが少なくて楽ちん。
  • 処理時間が短時間ですむ。
  • 運転手が勤務を休んで出頭する必要がない。
  • 警察・司法にとっても業務の負担が少ない。

⇒ ひいては、国家予算の削減に貢献している。

 

しかし、取締りの警察の判断がいつも必ずしも正しいとは限りません。
ときには、警察の誤認や誤判断もあると思いますが、そんなときに問題点が見えてきます。

◆青切符制度の問題点

  • 青切符への署名要求が(一般に)高圧的で拒否できない。
  • 一旦署名すると、不服があっても抗弁の機会が与えられない。
  • 結果的に泣き寝入りをしてしまうのが現実。

 

しかし、青切符をきられても正しい知識を持っていれば、無実を主張してきちんと抗弁することができます。

青切符ルーチンのフローチャート

青切符は、反則金を納付させる制度なので、違反者に対して、反則金納付の機会を繰り返し与えてくれます。

下のフローチャートでは、4回のチャンスを示していますが、この他に督促のハガキが来る場合もあります。

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無実の抗弁をする実質的な機会は、フローチャートの右側に書いた「⑨検察からの呼出」から始まります。

無実を主張するための手続き

無駄でも録音しておきましょう

交通違反の指摘を受けて、警察の取り調べを受ける前に、

アシスタントぺんさん

記録のために録音させてください

と断って、取り調べの様子をすべて録音しておきましょう。

録音をダメだという警察官はいません。

◆スマホを活用する

録音機を常時携帯している人は少ないでしょうが、スマホを持っている人は多いはずです。
スマホを取り出して、録音アプリを起動するだけです。

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後々、言った言わないの論争になることもあるかも知れませんので、スマホがあれば必ず録音をしておくべきです

不要なら、後でデータを削除すれば良いだけですからね。

 

青切符にはサインをしましょう

最初の抗弁のチャンスは、『③署名捺印』で事実確認の署名を求められたときです。
どうしても納得できなければ、この署名を拒否することが出来ます。

アシスタントぺんさん

事実誤認があるので署名しません

しかし、ここは、おとなしくサインをしておきましょう。

その理由は、3つあります。

  • 頭を冷やす時間が作れる
  • 抗弁の理由を構築出来る
  • 現場の警察官とモメると時間の無駄。

 

◆頭を冷やす時間

署名を拒否すると、いきなり「⑧事件として在宅捜査」にジャンプします。

こうなってから、後で、「やっぱり止めとけば良かった」などと考え直しても、手遅れです。

ひとまず、署名しておけば、40日間以上のじっくり考える期間が与えられますから、じっくりと頭を冷やして、冷静な判断をしましょう。

 

◆抗弁を理論付けする時間

上記と同じことですが、40日間以上の期間が得られますから、抗弁の理論やデータの整理ができます。

必要に応じて追加の実験をすることも出来ます。

理論構築にトライしてダメだと思ったら、反則金を納付することによって幕引きをする選択もできます。

 

◆現場の警察官と争わない

現場では、どこも臨戦状態なので誰でも気が高ぶっているものです。

ましてや警察官は、何とかしてサインをさせようと、あの手この手で説得を試みます。

実は、青切符に署名をすることは、交通違反の自白調書に署名することを意味します。
だから、現場の警察官は、署名をさせようと躍起になるのです。

 

場合によっては、応援のパトカーを呼んであなたを取り囲むようにお巡りさんが整列して圧力をかけてくるかもしれません。

署名をしないと、長時間にわたって解放してもらえません。

 

そんな状況で、現場の警察官と言い争いになっても得られるものは多くはありません。

時間の浪費ですから、冷静に自己主張をして意見が通らなければ、一旦、署名をして仕切り直しを狙いましょう。

 

でも、大丈夫です。

後日、検察の尋問の際には、しっかりと心情を主張してください。

アシスタントぺんさん

あの時は動揺していたし、現場の警察官の強い説得に逆らえずに署名してしまいましたが、本意ではありませんでした。

 

反則金を納付するか、裁判で争うのかを決心する

上記フローチャートの左側が、反則金納付を求める段階です。

最初に渡される「納付書」の他に、40日後に県警察本部長名(東京は警視総監名)で「反則金通告」が送付されてきます。

この40日間に、反則金納付に応じるのか、裁判で無実を争うのかの方針を明確にします。

◆反則金を納付する決断
冷静に考えてみて、違反が事実であれば、素直に反則金を納付しましょう。
反則金を納付してしまえばその段階で完了です。

◆裁判で無実を証明する決断
状況を整理した上で、やっぱり裁判で無実を争う決心がついたならば、反則金を納付しないで、検察からの呼出を待ちます。

 

この間に、事実認定に関する理屈をきちんと整理しておきましょう。

ドライブレコーダーの記録があれば信号無視や一時不停止などの違反に対して、強い証拠になります。

取り調べの録音の内容があなたにとって有益であれば、誤って削除しないようにパソコン等に保管しておきます。

反則金を納付しないで待てば担当は検察に

反則金を納付しないまま時間が過ぎると、事案が検察に送検されて、捜査担当は警察から検察に移ります。

 

◆検察から呼出で、略式か正式かを問われる

ある日、検察から呼出があります。

呼出がないまま、不起訴となってしまう場合もあります。

呼出の用件は、事実確認と略式裁判か正式裁判かの希望を問うものです。

検察官

正式裁判にするとコトが大きくなるので略式にしませんか。

と相談が投げかけられます。

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略式とは「略式命令請求(略式起訴)」のことで、
正式裁判とは「公判請求」のことを指します。

 

略式は手続きが簡素なので、検察にとっても被疑者にとっても便利な制度ですから、90%以上の多くの場合は略式で進められます。

しかし、検察が勝手に略式にすることはできず、「略式に同意するという書類」に被疑者本人が署名しなければ実施できないのです。

検察官

青切符に署名をしたのに、なぜそれほど正式裁判にこだわるのですか」

と聞かれたら、

アシスタントぺんさん

現場の警察官の説得に逆らえずに署名してしまいましたが、わたしは違反をしていません。
それを裁判で明らかにしたいと思います。

と、きちんと主張しましょう。

 

ここで、略式裁判を選ぶのは、愚の骨頂ですよ。

略式裁判を選ぶくらいなら、とっとと反則金を納付して、さっさと完了すべきだったのです。

せっかく、事実認定について争う準備をして、反則金を払わずにここまできたのですから公判請求をして、正式裁判を要求しましょう。

 

「略式命令請求(略式起訴)」を選択すれは、必ず起訴されて、必ず有罪になります

略式では、抗弁の機会も与えられず自動的に有罪になり、反則金とほぼ同じ金額の罰金刑の判決になるのです。

 

金額は同じでも、反則金と違って、罰金は前科になります

 

◆検察の判断

ここが、最大のポイントです。

略式起訴を拒否された検察としては、公判請求をするか不起訴にするかの選択を迫られます。

 

不起訴になれば、事実はウヤムヤのまま不起訴処分で終了です。

裁判をしないのだから判決が出ませんので、罰金はありません。
反則金の手続きは終了しているので、反則金納付の必要もありません。

 

不起訴と言うのは、検察が裁判をする価値がないと判断した結果です。

公判を維持できるかを(勝つか負けるかを含めて)熟考して決めた結論です。

 

後述の検察の現状を考えると非常に微妙な心境ですが不起訴を勝ち取ったのは、被告の勝利とみなしましょう。

 

 

一方、起訴されて「公判請求」となれば、正式裁判が始まりますから、判決が有罪か無罪かは分かりません。

正式裁判が始まったら、これまでに準備してきた理論をきちんと主張して、無罪を勝ち取りましょう。

 

もしも、有罪判決だとしても、罰金の金額が反則金から大きく解離することは普通はありません。
だいたい反則金と同額程度の罰金になります。



起訴か不起訴かそれが問題だ

苦しい司法の現実

交通違反事件に関して、検察が起訴するか否かの判断には、検察を縛り付けているとても苦しい現実があるのです。

 

交通違反事件に関して、公判請求をして正式裁判をする日本の司法の処理能力は、
年間12,000件ほどしかないのです

これ、大事な数字なので、覚えておいてください。12,000件

 

5年間の実数

◆赤切符と青切符の比率

2002年~2006年の5年間平均値で見ると、年間の交通違反取締り件数は838万件にも及びます。

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90%が反則金対応の青切符で、10%がやや罪の重い赤切符です。

一年間で760万枚もの大量の青切符が交付されているのです。
これが全部検察に回されたら、検察はパンクしてしまいます。

 

◆検察の処理件数

実際に、この期間に検察が処理した交通違反件数は、僅かに75万件です。
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この中の81.7%が略式起訴で処理されています。

公判請求は、11,230件で僅かに1.5%しかありません。
残りは不起訴処分となっています。

ここで、さきに述べた日本司法の裁判処理能力を思い出してください。

裁判の処理能力は、12,000件ほどでしたね

検察が実際に公判請求していた件数は、ほぼ処理能力いっぱいであり、むやみにこれ以上増やすことは出来ないのです。

 

◆ほとんどが反則金納付処理

年間838万件の交通違反件数のうち、検察が処理しているのは、わずか9%の年間75万件です。

この差となる91%は、青切符による反則金納付で完結しているものです。

検察に回されるのは、ほとんどが赤切符の交通違反で、青切符から検察に送致される例は極めて少ないのです。

 

検察案件のうちの81.7%の被疑者は略式起訴に応じて略式裁判を行いました。
残る18.3%が、公判請求か不起訴かの判断テーブルに乗った件数です。

 

検察の苦渋

検察に送致された事案は、本来ならばすべて公判請求をして、正式な裁判によって有罪か無罪かの審判を受けるべきなのです。

 

しかし、公判請求のカードは貴重な切り札なのですから、赤切符で送致された凶悪犯(懲役刑などの事案)に優先的に回さなければなりません。

青切符の軽微な罰金刑には、貴重な公判請求のカードを使いたくない心情が分かるでしょう。

 

そのため、罰金刑で済む軽微な罪状は、できるだけ略式起訴で処理するように努力しています。

こうして、略式起訴が出来ずに残った事案数が、13.7万件なのです。

 

公判請求出来る上限件数が12,000件ですから、残りの12.5万件はどうしても不起訴にせざるを得ないのですね。

こうして、実際に公判請求に至った件数は11,230件でした。

 

簡単な図に示すとこのようになっています。

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まとめ

警察から交通違反の嫌疑をかけられたときに、自分でも違反をしたと自覚があるなら、潔く罪を認めて、素直に反則金を納付しましょう

しかし、どうしても納得出来ない場合もあるものです。

自分としては、絶対に違反をしていないつもりなのに捕まってしまった場合です。

 

そんな時は、正式裁判を求めて無実を争うことが出来ます。

しかし、検察の実情では、青切符から検察送致となった軽微な違反事案で正式裁判を希望しても、不起訴とされる可能性が極めて高いのです。

しかし、他人の弱みに付け込んで、盗んだような不起訴は勝利ではありません。

何でもかんでも、青切符を否認というのは間違った考えです。

警察に捕まった時には運が悪かった面もあるでしょうが、違反をしたという自覚があれば、きちんと反則金を納付しましょう。

しかし、正式裁判でも争う意欲と確信がある場合には青切符の嫌疑を否認して、正々堂々と検察と争うことは正当な遵法行為です。

 

災害が起こったあとで、多くの国々では、暴動や略奪が発生しますが、日本ではそのようなことはありません。
日本人の民度が高いことを誇りに感じる時です。

青切符の否認についても、日本人の民度の高さを試されていると思えば、卑怯な否認は出来ないはずです。

 

 

なお、免許証の点数は、不起訴でも無罪でも関係なく減点されています

これを取り消すためには行政不服審査法による不服申し立てか、行政訴訟を起こす必要があります。

非常にハードルが高く、費用もかかるので、オススメできません。

残った点数を減らさないように安全運転に心がけましょう。

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