
50ccバイクはなくなるのでしょうか?
私を含めてリターンライダーのみなさんが若かった頃、バイクは多くの若者にとって最初に免許を取る存在でしたね。
私たちは16歳になるとすぐにバイクの免許取り、排気量アップしながら18歳になると、車に乗り変えるのが普通の男の子のライフスタイルでした。
16歳の少年にとっては経済的な余裕などありませんでしたから、最初は50ccのバイクを手にするのが精一杯だったのです。
ところが、その50ccバイクがなくなるかもしれないような事態が発生しているのです。
スズキの会長が50ccバイクはなくなると予測
2017年5月12日の決算の会見で、スズキの鈴木修会長が、将来は50ccバイクがなくなるとの見通しを語りました。
世界の小型バイクの主流は110cc前後でしたが150ccに移りつつあり、いずれ100cc前後のバイクはなくなるなるのではないかとの見通しを述べました。
さらに、「日本でも50ccがどうなっていくかということを考えると、やはり免許の関係もあるだろうが、125ccとか150ccが小さいクルマの限界になるのではないか」と予測しました。
小排気量車がなくなる理由は排ガス規制
名車の生産終了発表が続く
昨年(2017)の夏、バイク各社が、長く続いた名車の生産終了を発表しています。
ホンダモンキーとかヤマハのSR 400とか、長く愛されたバイクが生産終了になりました。
その理由は厳しい排ガス規制に対応できなくなったからです。
自動車の排ガス規制は昭和50年ごろから厳しくなりましたが、バイクについては2000年頃までほとんど野放し状態でした。
その当時は、ガソリンを撒き散らすと言われた2サイクルエンジンでも、のびのびと走っているような状況だったのです。
バイクの場合は一般に排気量が小さいので、排ガス規制のために出力を抑制すると、走行性能がひどく低下するという問題があります。
50ccのミニバイクでは排ガス対応が厳しい
特に 50 cc以下のミニバイクでは厳しい排ガス規制の大クリアするのは難しい状況です。
排ガスをクリーンにするために、ガソリンを完全に燃焼させるためには、空気とガソリンの比率を空気14.7に対してガソリンが1の重量比が理想的です。
しかし、もっとパワーを出したい場合はガソリンの濃度を濃くする方法があります。
ところがガソリン濃度濃くすると、燃え残された生のガソリンが発生して、一酸化炭素やその他の炭化水素を排出して、環境を汚染してしまうのです。
2006年の排出ガス規制によって一酸化炭素を従来よりも85%ダウンさせる要求が出されました。
従来のキャブレター方式では絶対に対応できなくなり、50ccの原付スクーターでもインジェクション搭載が当たり前になりました。
さらに、2016年のEURO4規定が適用されると、ホンダモンキーでは対応できなくなったのです。
厳しい排ガス規制をクリアする方法は、インジェクションによる厳密な吸排気量コントロールと、三元触媒を組み合わせれば技術的には可能です。
しかし原付バイクは低価格を売り物にしていますから、値段の高い金属を使った三元触媒方式は採用は難しいのが現実です。
さらにコストだけではなくて、装備の大きさや出力がダウンするという問題があり、原付バイクの魅力が大きく損なわれてしまいます。
これに加えて、2020年頃にはEURO4よりも厳しいEURO5の適用が検討されています。
コストと出力に与える影響を考えれば中型車以上でなければ対応が難しくも50ccではほぼ無理かもしれません。
各社で競争してる状況ではとても対応ができないと気がついたトップ2社(ホンダとヤマハ)では、原付バイクについては協力しましょうということを発表しています。
実際には、50 ccのバイクは新聞配達や郵便配達のビジネスバイクとして非常に多く活用されています。
こうした厳しい環境の中で50ccバイクは消えていくかもしれませんその代わり検討されているのが、電動バイクです。
日本郵便とホンダが電動バイクで提携発表
2017年3月23日の発表で日本郵政とホンダが社会インフラ整備に向けた協業の検討開始.ニュースを共同でリリースしています
中でも興味深いのが電動バイクに関する記述です
電動二輪車等の郵便配達での活用を展望した社会インフラの整備に向けた取り組み
(1) 郵便配達業務での電動二輪車等を用いた実証実験
日本郵便は、Hondaの開発する電動二輪車等を用いた実証実験を行うことにより、郵便配達業務への電動二輪車等の導入の可能性を検討します。これにより、今後強化される排出ガス規制の中でも、永続的に郵便配達業務を続けられる体制づくりを目指します。
(2) 郵便局への充電ステーション設置の実証実験
日本郵便が郵便配達業務で使用する電動二輪車等に関連して、郵便局への充電ステーション導入の実証実験を行います。
将来的には、充電ステーション機能を通じて郵便局が、より利便性の高い「人々の集う場所」として地域にさらに貢献できる存在となることも目指します。
郵政カブとして親しまれている赤いバイクですが、将来は、全て電動バイクに変わってしまうのかもしれません。
また、生産終了を発表したモンキーですが、モーターショーでは、125ccバージョンが発表されており、125ccモンキーとして生まれ変わるのかもしれません。
いずれにしても、50ccミニバイクの終焉が近づいているのは避けられないような情勢ですね。
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