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ビンテージハーレーを資産として考えてみる

ビンテージハーレーを資産として考えてみる

ハーレー中毒者たち

わたしの友人の話をします。

彼は、40歳代前半の普通の製造業の会社の工員さんで、これまで真面目に勤めてきたので班長だか主任だかの役職になっていますが、工員さんですから、暮らしぶりがそんなに余裕があるわけではありません。

そんな彼は重症のハーレー中毒症です。

最新型のハーレーを1台所有しているのですがそれに満足できず、最近、1960年代の旧車(クラシックバイク)を買い増ししました。

彼の言い分によると、
「インジェクションのハーレーはハーレーじゃないよ。キャブレターじゃないとハーレーの音がしないんだよ」
だそうです。

ハーレー・ダビッドソン社では、2007年から全車をインジェクション車に切り替えて、現在はキャブレター車の生産をやめてしまったのです。

当然、旧車よりもインジェクション仕様の最新型のハーレーの方が性能は良いし、取り扱いも容易です。
しかし彼は、この最新型のハーレーだけでは満足できなかったのです。

購入したのは60年以上前の古いバイクですから、性能は悪いし手間がかかるし実用的には何のメリットもありません。
しかも、購入価格は200万円以上とかで、新車と変わらないかむしろ新車よりも高かったそうです。さらに、メンテナンス費用は新車よりも何倍もかかります。

ある意味、生活を犠牲にしてまでハーレーの旧車を欲しがる彼を、ハーレー中毒症と言わずして何と言いましょうか。

 

クラシックバイクの人気の一つはハーレー・ダビッドソン

ハーレー中毒菌感染者たちが求めるのがハーレーダビッドソンの旧車です。

元もとバイクは趣味性の強い乗り物ですが、クラシックバイクとなると、趣味そのもので実用的なメリットは殆どありません。
嫌味を込めて無理やり言えば、取り回しやキックスタートに体力を使うので、健康的な運動にはなるかもしれません。

クラシックバイクは、実用性では最新のバイクと比べれば機能的にはほとんどメリットのないバイクですから、完全な趣味の世界になります。
そんな趣味の世界でも人気の流れがあるのですが、クラシックバイクとして一つの大きな流れを作っているのがハーレーダビッドソンなのです。

古っぽいバイクを一般にクラシックバイクといいますが、ハーレーの場合は、製品名として「ヘリテイジ ソフテイル クラシック」のようにクラシックと言う名の機種がありますので、ハーレーの旧車のことをクラシックハーレーとは言わず、ビンテージハーレーとか言うことがあります。

外観的にはあまり大きな時代的な変化がないのがハーレーの特徴でもありますが、何年前の製品を旧車というのでしょうか。
管理人の考えでは『50年以上前』を一つの基準にしていますから、今なら1967年以前のバイクをクラシックバイクといいます。



ビンテージハーレーはエンジンで見分ける

ハーレー中毒症の男たちは、ハーレーが作り出す3拍子とも言われる独特の排気音と振動が魂を揺さぶるといいます。
その、独特の振動を作り出しているのがエンジンそのものです。

最新型のDOHCエンジンではこの独特の音を作り出せないといいます。
独特の鼓動は、ロングストロークのビッグV型2気筒OHVエンジンが作り出すのです。

ハーレーのビッグVツイン OHVエンジンは、エンジンの仕様によって4つの世代に分けることができます。
それぞれ、ロッカーアームのカバーの形状から、ナックルヘッド、パンヘッド、ショベルヘッド、エボリューション(稀にブロックヘッド)と呼ばれます。クラシックバイクは50年以上前の古さであるべきだという管理人の主張によれば、ビンテージハーレーと呼べるのは、ナックルヘッドとパンヘッド及び初期のショベルヘッドエンジンまでです。
一部には、エボリューションまでも旧車(クラシックバイク)として販売しているケースもありますが、それはまだ20年ほど早いと思います。
エボリューションは、単にちょと古い中古車であると言うのが、管理人の理解です。

ハーレーOHVエンジンの生産時期

 

第1世代 ナックルヘッド(Knucklehead)

生産時期は、1936年~1947年(昭和22年)までの約11年間。

ハーレー社で最初のビッグVツイン OHVエンジンです。
ヘッドカバーの形状が「拳(こぶし)」に似ていることから、ナックルヘッドと呼ばれました。

工業生産品として出来の良いエンジンとだと認められていましたが、オイル漏れやオーバーヒートが頻繁に起こるし、メカノイズも大きく、トラブルが多いエンジンでした。

下図は、1938年式ナックルヘッドのエンジン始動の様子を記録した動画です。
キック11回目でやっと始動しました。
このオーナーは、かなりきちんと手入れをしてますが、エンジンの掛かり具合は、こんなもんです。
メンドクサイ

第2世代 パンヘッド(Panhead)

生産時期は、1948年~1965年(昭和40年)までの約17年間。

ナックルヘッドのいろいろなトラブルを改良するために設計されたエンジンで、性能面での変更は殆どありません。
ヘッドカバーの形状が「鍋(なべ)」に似ていることから、パンヘッドと呼ばれました。
フライパンとかミルクパンのパンですね。

エンジン出力などの基本性能は、ナックルヘッドと殆ど変わりませんが、故障やトラブルの信頼性は大きく改善されました。
特に、シリンダーヘッドがアルミに変わったことで、オーバーヒートが減少しました。

下に、始動の様子を記録した動画を2つ紹介しますが、ハーレーの旧車とは、エンジン始動だけでもこれほど手間がかかるメンドクサイ乗り物なのです。
ハーレー中毒症に罹患していなければ、とてもつきあえる代物ではありません。

1953年式パンヘッドのエンジン始動動画です。
キックは楽しいと言いながら、彼は15回も蹴っています。メンドクサイ

こちらもパンヘッドの始動動画です。
オーナーのおじさんは、「これが旧車の良さです」と言いながら休憩を入れつつ、26回目のキックでやっと始動しました。
ちょっとお出かけするのも大変です。

 

第3世代 ショベルヘッド(Shovelhead)

生産時期は、1966年~1984年(昭和59年)までの約18年間。

ほとんど性能面の変化がないナックルヘッドとパンヘッドエンジンで、約30年間を過ごしたハーレーを追い詰めたのは、日本のバイクメーカーでした。
高性能なエンジンのバイクを低価格で提供したので、ハーレー社の業績は低迷します。

日本製の高性能バイクに対抗するために、ハーレーは新型エンジンの開発を行いました。
このエンジンのロッカーアームのカバーが「ショベル」に似ているので、ショベルヘッド呼ばれています。

しかし、1969年までの初期のアーリーショベルは、パンヘッドとの共通部品も多く、相変わらずオイル漏れやオーバーヒートのトラブルが絶えず、このため、さらに業績が低迷して、ハーレー社はAMFに買収(1969年~1981年)される事態にまで陥りました。

この後、1970年にエンジンは大幅に改善され、1978年には排気量が1340ccに拡大、さらに後期にはドイツ製の高品質なピストンを採用するなどの改良を加えてエンジンの完成度を上げてきました。

ハーレーサウンドを最も良く響かせるのは、ショベルヘッドだという説もあります。
下の動画のショベルヘッドのエンジン音を聞いてください。
ハーレー独特の鼓動感を余すところなく表現しています。

録音機器として、2万円以上もするオーストリア製高性能マイク(AKG D112バスドラム専用)を使っているので、ハーレーの排気音の魅力をしっかりと伝えてくれます。
できれば、高音質のヘッドホンで聞くと良いでしょう。

このショベルヘッドの年式は不明ですが、なんとたった3回のキックで始動しました。
上の動画(ナックルヘッド、パンヘッド)よりもキック回数が少ないのは、改良が進んだ高年式車かもしれません。

第4世代 エボリューションエンジン(ブロックヘッド)

生産時期は、1984年~1999年(平成11年)の約15年間です。

管理人が指定するクラシックバイクには該当しないので、詳しい説明は省略します。

資産としてのハーレー旧車

ナックルヘッドやパンヘッドのような旧車は、新たに生産されることはありませんので、当たり前の話ですが、存在する台数が増加することはありません。

一方で、ハーレー中毒菌に感染したおじさんたちが定年を迎えて、資金的にも余裕ができると、少々高めでもビンテージ・ハーレーを手に入れたい願望が強まります。
ワクチンが効かない中毒症だから、どうしようもありません。

需要と供給のバランスが崩れれば、価格は高騰するか下落するかの二者択一になります。
ナックルヘッド、パンヘッドは古いためにタマ数が少ないので、部品取りにしか使えないスクラップ品はともかくとして、実働品であれば200万円程度、極上品となると700万円もの高値がつけられています。

日本在庫品だけでは需要をまかないきれず、アメリカからの旧車輸入も恒常的に行われています。

しかし、米国内では、限られたアメリカの至宝を国外に流出させるなと言う考え方もあるようなので、いつまでも今のペースで輸入ができるかどうかは分かりません。
そうなると、近い将来国内価格の上昇につながるかもしれません。

下の図は、アメリカの入札サイトebayからの抜粋です。
程度によって違いますが、150万円とか200万円程度の出品が多いですね。
もちろん日本までの輸送は別料金が加算されます。

下の動画は、1956年式ナックルヘッドの極上品ですが、400万円の値が付けられています。
極上品でも、エンジン始動にはチョークを調整しながら10回のキックが必要なようです。

おそらく、今後5年程度は高価格市場が維持され大きな価格変動はないのではないでしょうか。
その後、さらに高騰するかもしれません。

そういう予見のもとに、定年後のリターンライダーが投資として上質なビンテージ・ハーレーを購入して、数年間楽しんだあとで売却すると利益が見込めるかもしれません。
趣味と実益が兼ねられるかも?

投資は先が読めないゲームですから、ビンテージハーレーで損害を被っても、管理人は責任を持ちませんので、悪しからずご了解ください。

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バイクの種類の解説をまとめたページです。
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Comments / Trackbacks

  • Comments ( 2 )
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  1. かたやさん、コメントありがとうございます。

    11回キックの人と、26回キックの人が似てるとは思ったのですが、同じ人でしたか。
    まさかビンテージハーレーを2台所有しているとは想像もできませんでした。
    貴重な画像の提供ありがとうございます。

    古いハーレーの生産時期については、正確な試料がなかなか見つからず、英語のサイトも調べてウラを取る作業にかなり時間をとられました。
    その結果を正確だと評価してくださったことにお礼を申し上げます。

    お身体をいたわりながら、ハーレーを楽しんでください。

  2. はじめまして、かたやと申します。プレスの金型製造業をやっておりまして関西ではこの職業をかたやと呼んでおります。
    まず御礼を言わなければなりません。
    記事中でキックを11回と26回行いエンジン始動出来たのは私です。キックの奥義に道半ばですが、非常に好意的な表記に御礼を申し上げます。
    ヴィンテージハーレーに心酔して20年近くなり、様々なアクシデントを体験し洗礼を受けてきた自分から見ても、この記事の正確さは95%以上だと感心致しました。ゆえに、
    その他の記事も信頼して安心して読み進んでおります。
    なにぶん膨大な量なので全部読破するのにはもう少し時間がかかります。
    私が出演しているつたない動画を世界中に発信して頂き有り難う御座いました。

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