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サイドカーならぬサイドバイクのメガゼウスとは

サイドカーならぬサイドバイクのメガゼウスとは

サイドカーならぬサイドバイクのメガゼウスとは

従来のサイドカーやトライクとは全く構造が異なる乗り物『メガゼウス』について調べたので御覧ください。

長いことバイクに親しんできましたが、このような乗り物があることを初めて知りました。
残念ながら、フランスのメーカーが倒産しているので、新車を手に入れることはできません。

サイドカーとサイドバイクの違い

サイドカーとは

オートバイの横に側車(サイドカー)を取り付けた3輪バイクがサイドカーです。

サイドとは、横っちょのと言う意味で、メインになるものの横とか脇のことです。
サイドメニューとかサイドミラー、サイドドアなどの言葉があります。

 

サイドカーは、直訳すれば「横の車」つまり「側車」ですね。
サイドカーの法律用語は、「側車付二輪車」で、ニ輪車として走行可能なバイクが主体であり、サイドカーは文字通り「側車」なのです。

『独立したオートバイ』+『側車』=サイドカー(側車付き二輪車)
となります。

 

日本の法律では、サイドカーは、側車を外したときに、オートバイ部分が独立して走行できることを一つの条件にしています。

 

サイドバイクとは

サイドバイクはサイドカーとは逆の発想の乗り物です。
主たる装備として乗車室があり、付帯設備として脇にバイクをくっつけると言う発想です。

この文章は、当サイト管理人独自の解釈であり、一般的なサイドバイクの定義ではありません。
サイドバイクと言う一般用語は存在せず、通常はフランスのバイクメーカーであるサイドバイク社を指すようです。

『主たる乗車室』+『側のバイク』=サイドバイク
というわけです。

 

日本の法律では、サイドバイクという用語はなく、この車両はサイドカーではなく「トライク」として扱われます。



サイドカー型自動車、ゼウス

ゼウスとは、フランスのバイクメーカー、サイドバイク社が2001年から2012年に製造したトライクの機種名です。
残念ながら、サイドバイク社は経営困難のために2012年に倒産したので、現在ではゼウスの新車は手に入りません。

現在では輸入されていませんが、静岡県掛川市の有限会社コロフィーが修理やオプションの面倒を見ているようです。

輸入当時の新車価格は546万円でしたから、ベンツやBMWなどに匹敵する高級車だったのです。
実用性がなく、趣味の乗り物に500万円を払える人はそれほど多くはありません。

国内への総輸入台数は250台程度と言われており、流通の玉が極端に少ないので中古車市場の価格は高止まりで、手に入れるためには10年以上前の車両でも300万円程度は必要です。

 

日本では『メガゼウス』の呼び名が普及していますが、サイドバイク社では単にZEUSと称しています。
輸入当時に、日本代理店コロフィーが販売した車両をメガゼウスと称しましたが、これは日本だけの呼称のようです。
この記事では、以下、単に『ゼウス』と呼ぶことにします。

サイドバイク社の詳細について、フランス在住の友人から詳しい情報を頂いたので、巻末で紹介しています。

 

本体車両は豪華装備の二人乗り居室

通常なら側車と言われる部分が、ゼウスの本体車両になります。

このような流線形のスマートな格好をして、内部には二人乗りのシートがあります。
大人が2人ゆったりと座れると表記されていますが、実際はどうなのでしょうか。
上の車体とは別の車両ですが、二人分のシートを写真で確認してください。オプション装備になりますが、エアコンやオーディオも設定できます。
当然のことですが、運転担当のライダーには何の恩恵もありません(笑)

 

本体車両の後部にプジョーの2000ccエンジン

車両本体の後部に、プジョーの水冷4気筒2000ccエンジンがこんな風に横置きされています。
この写真を見て、バイク型の乗り物を想像できる人はいないでしょうね。

だから、バイクの後輪の両側に出ている2本の排気口も、車両本体のエンジンからグルグルとパイプを引き回してバイク後ろまで引っ張っているのです。
完全なファッションですね。

バイク部分は空っぽの収納スペース

バイクのシート下は通常はエンジンが収まっていますが、ゼウスでは、シートを外すとその下は空っぽで単なる収納スペースになっています。

クラッチ操作とアクセル・ブレーキ操作は足で

バイクの格好をしているなら、左手がクラッチレバーで、右手が前輪のブレーキレバーで、右側のグリップが回転するアクセルと決まっているものです。

しかし、ゼウスには、右手にも左手にもレバーはついていないし、右手のアクセルグリップも回転しません。
バイクの格好をした運転席に座ったら、どうのように操縦したらいいのでしょうか。

画像出典:http://bannbaro.web.fc2.com/otobai147.html

 

実は、バイクにまたがると、左足側にクラッチペダルがあります。

画像出典:http://bannbaro.web.fc2.com/otobai147.html

 

右足側にブレーキペダルとアクセルペダルが付いているので、運転操作は自動車と同じなのです。
大型二輪免許を所有していても、そのノウハウを活用できる乗り物ではありません。

画像出典:http://bannbaro.web.fc2.com/otobai147.html

 

2つ上の写真の、ハンドルグリップの付け根にある赤ボタンが、シフトチェンジのボタンです。
右側がシフトアップ(5速)で左側がシフトダウンです。

ニュートラル・ポジションからさらにシフトダウンすると、リバースに入ります。

日本の法律では

「50 cc 超のトライクは道路運送車両法上では側車付二輪車とし、道路交通法上では普通自動車とみなす」
これが1999年の運輸省(現、国土交通省)の見解です。

ゼウスは、この定義に該当します。

オートバイだけど普通自動車

日本で登録されたゼウスの車検証を拝見すると『側車付きオートバイ』と書いてあります。

乗車定員は4名です。
乗車室車両に2名とオートバイ部分にタンデム(二人乗り)で、合計4名です。

ゼウスはやたらにでかい

車検証を見て気がついたのですが、189cmと横幅が異様に広いですね。
軽自動車の規格では横幅は1480mm以内で、5ナンバーの乗用車の規格では横幅は1700mm以内です。

ゼウスの横幅は、これよりも広いのです。

もしも乗用車扱いになれば、なんとゼウスは、3ナンバーになってしまいます
トヨタのミニバン「アルファード」の横幅が1850mmですから、あれよりも40mm大きいのです。

横幅が大きい割に、ライダーの位置が極端に左端に寄っているので、走行中の道路でのポジション取りには注意が必要です。
特に追い越しの場合は、見通しが悪いので十分な注意が必要です。

乗車室の乗員は、地面を這うような低いポジションでセンターライン側に位置するので、大型トラックとのすれ違いでは、相当怖いでしょうね。

 

運転するには「普通免許」が必要「大型二輪免許」ではダメ

運輸省(現、国土交通省)が「道路交通法上では普通自動車とみなす」と決めたので、バイクのサイドカーの格好をしていながら、ゼウスを運転するためには二輪免許ではなく普通免許が必要になります。

ただし、一般的なトライクと違って、ゼウスは前項で示したように、左足でクラッチペダルを操作し、右足でアクセルペダルとブレーキペダルを操作します。
オートマではないので、オートマ限定の免許では運転できません。

運転操作は自動車と同じですから、二輪乗車の習熟度は必要ありません。

 

普通自動車の扱いなので、法律上はヘルメットを被らなくても良いことになっています。
しかし、全身をさらけ出して乗車するのですから、バイク部分に乗る人は、パッセンジャーも含めて必ずヘルメットを被りましょう。

.ゼウスではありませんが、ノーヘルのトライクが道路から転落して、奥さんが死亡し、中学生の娘が意識不明の重体の事故が北海道でありました。
運転していたお父ちゃんも、首の骨を折るなどして重症でした。

高速道路での最高速度は、80km/hです。
これについては、昔のオート三輪は80km/hだけど、トライクは100km/hだと主張する販売業者がいますが、間違っていると思います。
サイドカーは100km/hだけど、トライクは80km/hだというのが、わたしが調べた結論です。
ゼウスは、日本の法律で規定したサイドカーではなく、トライクですから80km/hなのです。

独特なハンドリンク機構

ゼウスのハンドリングはバイクとは全く違います。

バイクの場合は、コーナーでは車体を内側に倒して(リーンと言います)バイク全体を傾けて、重心位置をタイヤに合わせます。
しかし、ゼウスにはリーンの機構がありませんから、車体を倒すことができません。

タイヤの断面図を見てみましょう。
コーナリングで車体を倒すので、下図右のバイクのタイヤは断面が丸くなっています。
それに対して、下図左の自動車のタイヤは、接地面積を大きくするために扁平なのです。

下の写真の前輪のタイヤを見てください。
完璧に自動車の扁平タイヤですね。

こんなタイヤが前輪に付いていたら、普通のバイクだったら全くコーナリングが出来ません。

 

 

フロントフォークがない

ゼウスの運転席には、バイクのようなバーハンドルが付いています。
普通のバイクなら、フロントフォークで、バーハンドルと前輪を直結していて、キャスター角によってトレールが決まり直進安定性などの走行特性が変わってきます。

こんな具合です。

下の図は、ゼウスのフレームですが、ハンドルと前輪を斜めにつなぐフロントフォークがありません。

バイクのような外装を被せていますが、構造的には、とてもバイクとは呼べない代物ですね。

フロントフォークがなくて、横軸で保持するハンドリンク機構は、完全に自動車の技術です。

 

前後輪が曲がる(2WS)

仕様書を見ると、後輪側輪二輪駆動となっています。
つまり、バイク側の後輪と車両側の側輪の2輪が駆動輪として回転するのは容易に想像できます。

さらに、前輪後輪の2輪操舵機構(逆位相)と言う表現もあります。

一般にサイドカーは、コーナリングのときに、側車部分が慣性の力で直進しようとするので曲がりにくい(アンダーステア)の傾向があります。
それに加えて、ゼウスの場合は、特にリア荷重が大きくフロント荷重が小さいので、前輪1個だけで曲げることに難しさが伴います。

そこで、左折のために前輪を左に曲げたときには後輪が右側を向く、逆位相の二輪操舵機構(2WS)が組み込まれています。

下の写真は、左折の途中です。
前輪が左側を向いて、後輪が僅かに右側に向いているのですが、微妙なので写真では分からないかもしれませんね。

この技術によって、コーナリングの小回りが利くようになり、転倒しにくくなっているのだそうです。

 

サイドバイク社の顛末

フランスに住んでいる友人が、フランス、サイドバイク社が倒産するまでの顛末を調べてくれたので、ここに紹介します。

サイドバイク社は、2012年に倒産しました。

理由は、当時のリーマンショックのあおりを食らったのと、サイドカー自体が高価過ぎたことです。
さらに、商品開発に難があったのも原因の一つだと考えられます。

“Zeus”や、”Celtik”よりも先に、本格的なサイドカーである”Mega 2 Legend”を作っていれば、まだもう少し頑張れたかもしれません。
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Side-Bikeはとても人気のブランドでした。

でも、実際にサイドカーを買う人は少なかったのです。
サイドカーを買うならバイクや車を買う人の方が多かったようです。

当然、サイドカーのビジネスはそれほど大きくありませんでしたし、Side-Bike社も大きい会社ではありませんでした。

社会の経済状態が悪くなると、趣味用品であるサイドカーを買う人はさらに減少します。
2007-2008年のフランスは経済状況が厳しく(リーマンショックです)、沢山の銀行や会社は倒産に追い込まれました。

サイドカーは高価な製品だったので、生産を中止しました。
ですが当時すでに、サイドカーの在庫をたくさん抱えていたのです。
(Comete、Toro、Kyrnos、Zeus …)


しかし、購入者は減少する一方です。
この時から、Side-Bike社のビジネスが傾きはじめたのです。
Side-Bike社は当時人気ではなかったものを作ったためです。

“Zeus” (2001)
実は“Zeus”は本物のサイドカーではありませんでした。
“Zeus”は“bike + side-car”のコンビであり、主要なメカはバイクではなく自動車の技術でした。
例えば、エンジンはPeugeotの106もしくは206の車のエンジンでした。

“Zeus”は、本格的にバイクとサイドカーが好きな人には不人気でした。
多少売れてましたが、ビジネスとしては成功しませんでした。

“Celtik”(2008)
Side-Bike社は2008年に“Celtik”を作りました。
“Celtik”は“trike”という物で半分バイクで半分車でしたが、高価な割にあまり美しくありませんでした。
全然人気はなく、殆ど売れませんでした。
この後Side-Bike社は新しい、本物のサイドカー(“Mega 2 Legend”)を製作しました。
本当のサイドカーが好きな人には好評でしたが、遅すぎました。
なぜならSide-Bike社の資金は、すでに尽きてしまっていたからです。
2011年にSide-Bike社の工場で働いていた社員は全員解雇になりました。

Jean-Marc Mullerが、Side-Bikeのブランドを買い取りましたが、彼の会社は小さい自動車工場で、再建するには資金が足りませんでした。

こうして、2012年にはMullerの会社もSide-Bike社も倒産しました。

バイクの種類を10個のカテゴリ分けして詳しく解説

バイクの種類の解説をまとめたページです。
アドベンチャーツアラー、アメリカン&クルーザー、スクーター、原付一種&原付二種、オフロードバイク、巨大バイク、スーパースポーツ、ネイキッドバイク、レトロ&クラシック、その他



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